16タイプをやらなくてもいい人・用いるのに注意が必要な人

16タイプをやってもあまり馴染まない人、ちょっと注意が必要な人を説明します。
※筆者の主観が入ります。あらかじめご了承ください。

あまりやる必要がない人

16タイプは基本興味があれば誰でも有用な概念ツールですが、あえていうならあまりやる必要がない人もいます。あくまでも「あえていうなら」ですけどね。

すでに周りに馴染んでいる人

自身が家族友人恋人などの理解者や共感者に多く恵まれていたり、学校・起業・家族などの社会一般にすでに十分馴染めている人は、MBTIの有用性がイマイチピンとこないかもしれません。(話のネタにはなりますが…)

ものすっごい雑な言い方をすれば、「陽キャに16タイプなんて要るか?」という話です(ちがう)

16タイプは自己理解・他者理解を目的としたツールであるので、他人や社会との違和感が元からあまりない人だと、世の中一般の多数派との「差」も少ないので、思うような参考やヒントが得られない可能性があります。

多数派は他者理解の「負担」が大きい

まず多数派の性格タイプは、生きていく上で自己理解や他者理解は必須ではありません。

全体の多数派に属するタイプだと、自身と他人、および社会との「差」そのものが少なく、メタ認知を行わない素の状態でも適応・順応できてしまうこともあるためです。自身が多数派ゆえ理解者や共感者を得やすく、相対的にはバランスの良い性格傾向を持っていることになるからです。

他者理解の必要性が低い反面、もしそれを望むなら自ら意識的に他者理解を行う必要があります。そしてしかし社会や世の中一般との「差」が、自分よりも大きい「他人」を理解しようとするのは想像以上に負担となることで、エネルギーが要ります。

「少数派」は他者理解を「せざるを得ない」

一方の少数派の性格タイプは必要に迫られて自己理解や他者理解を行ざるを得ない状況があります。

たとえば全体の2%以下しかいない少数派の性格タイプは、自身と他人、および社会との「差」を推し量り、適応・順応するためには他者分析を必要とします。…というか強いられます。自身が少数派ゆえ、理解者や共感者を得られず、相対的に尖った性格傾向を持っていることになるからです。

そして社会や世の中一般との「差」が自分よりも少ない「他人」を理解するのは、あまりエネルギーは要りません。大は小を兼ねますし、あるいは類推解釈が可能だからです。

「多数派」の目線から「少数派」は理解しづらい

多数派に属するタイプから見ると、少数派に属している人の性格傾向はおそらくピンときづらいものがあると思います。これは多数派≒常識人となるためで、少数派≒変人ならではの変わった認知や思考様式や判断プロセスはおそらく理解しづらいためです。

変人には変人たる理由があるというわけです。そして自身が変人だと自覚(メタ認知)している人は、世の中に常識や一般人の習性、性格適性、行動様式をあらかじめ読み込んで「予習」してきます。そして16タイプはそのためのツールとしては有用なのです。

この点常識人は、自ら興味関心を持って変人を理解しようとしない限り、変人の変人たる理由やその本質部分を見極めるのが難しいかもしれません。


イメージとしては「鋼の錬金術師」のゾルフ・J・キンブリーのような感じでしょうか。彼は普通に危険人物ですが「自分が異端であることを理解していれば常人のフリをしてパスできます」と言っており、実際に国家錬金術師の精神鑑定面接試験も合格しています。

キンブリーは自らが異端でありながら、メタ認知により「差」を理解することで一定の社会性を有しているのです。一方で他の登場人物がキンブリーの本質を理解しているとは限りません。多分誰も理解できません。そういう側面は現実世界でも多少はあるかもしれないということです。

考えるよりも直接会って話すことが多い人

考えるよりも直接会って話す人は16タイプに頼る機会は少ないかもしれません。16タイプは分類であり一般論に過ぎないので、手っ取り早く直接会ってコミュニケーションが取れるならそれにこしたことはなく、一番の他者理解になります。

また直接会って話すことが多い人はE型(外向型)のタイプに属する可能性が高いです。外向型は興味関心の方向が外界や他人に向かう傾向があるため、16タイプを学習したり用いたりする場合は、内省や考察を意識的に行う必要があるでしょう。

空想や妄想をあまりしない人

空想や妄想をあまりしない人は16タイプは馴染みにくいかもしれません。とりわけS型(感覚型)の人はこの傾向が強いと言われています。

前述の通り、MBTIはあくまでも「分類」にすぎず、ある程度の抽象的思考が求められます。そのため、抽象⇔具体の世界がをある程度行き来できる人が楽しみやすい概念です。

S型(感覚型)の人の場合、認知・判断が感覚や経験に基づくことが多く、具体的事例における感度や記憶、事実認識が強くなる反面、抽象的概念の理解や認識が弱くなることが多いです。繰り返しとなりますが16タイプは分類手法であり、抽象的概念であることを意識しましょう。

16タイプを用いる上で注意が必要な人

前提として「判定テスト」は当てにならない

こういってはナンですが、16タイプの「判定テスト」は当てになりません。16タイプよりもずっと運用に慎重なMBTIでは、タイプの「判定」をそもそもしません。

16タイプの「判定テスト」はあくまで簡易的なものです。お遊びや話のネタにはなるかもしれませんが、本格的に理解したいならば、8つの心理機能の概念をまずは読み解いて理解するべきです。タイプがわかるのはある程度体系的理解が進んで、考察や解釈ができるようになってからです。

根拠や事実にこだわりすぎる人

客観的根拠性(エビデンス)、論理的整合性(ロジック)、事実(ファクト)といった根拠性にこだわりの強い人は16タイプを用いる人で注意が必要です。

16タイプはふわっとした概念なので、具体的な事実がないと信用できない人、カッチリが論理や根拠がないと納得できない人は、あまり合わないかもしれません。どうしても一般論になるので、個々の事例や経験則といった「具体」のスケールに重きを置く人とは相性が悪い部分があります。


また「解釈が間違っている」「論理的に正しくない」という16タイプ警察になってしまう人がたまにいますが、16タイプは元から根拠性が割とあいまいなので厳密な「正解」がそもそもありません。厳密性を求めるならドイツ語のタイプ論を読むしかなく、その上で完璧に正しい解釈が必要です。

自己理解や他者理解という目的よりも、その解釈が正しい・間違っているという真偽を優先してしまうと、今度は補助ツールとしての性格が薄れてしまいます。また学問性を求めるならばそれは「タイプ論」としての話になります。

厳密な根拠性や整合性が欲しい人は16タイプではなくMBTIの公式セッションを受けた方が良いでしょう。「適度な距離感を保ちながら友好的に」は意外と難しく、人を選ぶということは覚えておくといいかもしれません。

断定思考が強い人

断定思考が強い人は16タイプを用いる上で注意が必要です。妄信してしまうリスクがあるからです。

16タイプは分類手法であり一般論であることは述べましたが、この「一般論」を唯一の原理原則(ルール)として断定してしまう人がまれにいます。「このタイプならこの特徴を持っているに違いない」「このタイプならこの行動は絶対にあり得ない」と決め付けてしまうのです。


ここが16タイプの難しいところなのですが、「4つの指標」は二分法であるため、スペクトラムではありません。仮にどこかの診断テストで外向51% 内向49%で判定された場合でも、「あなたは外向型です」⇒「外向型なのであなたはこういう特徴があります」という論理が成立してしまいます。

これを自己理解に用いる場合は、判定結果と実際の性格にギャップがあることは認識できますが、他者理解に用いる場合はそうはいきません。そのため16タイプの一般的見解を決めつけてしまうのはリスクがありますし、そもそも他人のタイプを「判定」するべきではないのです。

また16タイプはあくまでも性格傾向、より正確には8つ心理機能の優先順位をはかるツールに留まるため、性格傾向と能力を直接結びつけるツールではありません。よって「ESTPは運動神経抜群」「INTJは成績優秀」とは必ずしもなりません。あくまで可能性や傾向にとどまります。

個別具体例に拘りが強い人

個別具体例にこだわりが強い人は16タイプを用いる上で注意が必要です。16タイプは分類手法であるため、あくまでも一般論としての話になります。個別的・具体的事例、少数の例外についてはある程度切り捨てられます。

たとえばINFJの劣勢機能はSeで、五感を集中する、意識を切り替える、テキパキ行動するのが苦手という「一般的特徴」があったとして、その特徴に当てはまらないINFJも勿論いるかもしれません。

……が、16タイプはあくまでも「一般論」であることが前提となるので、個別事例や例外に注目しすぎてしまうと、あれもこれもと収拾がつかなくなります。一般的特徴が膨らみ過ぎてしまってもはや「理念型」として成立しなくなってしまうのです。

まとめ

16タイプは有用なツールですが、「適度な距離感を保ちながら友好的に」というのが前提となります。抽象的概念ゆえのとっつきにくさと面白さがあり、また有用性と危うさがあるのです。

骨子となる理論原則がまずあって、次に学説があってそれをどう解釈して、個別事例を判断していくか……という分野になるので、現代文の記述問題、民法の論文試験などと同じく「唯一の正解」が存在しないのです。(※逆にこれらの類が好きな人はハマる可能性があります)


書籍やサイト、掲示板などを通して長期間16タイプや8つの心理機能に触れながら理解を深め、時には自身の考察や解釈を言語化したりして馴染んでいくのを気長に待つわけですが、それなりに時間がかかるでしょう。

またあくまで補助ツールであって「学問」ではありません。つまり「完璧に理解する」「マスターできる」という類のものではないのです。それでも明確な確信や客観的根拠性など「正しさ」を外部に求めようとする人は、16タイプではなくMBTI公式セッションを受けた方が良いでしょう。

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