16タイプのいいところ・悪いところ

16タイプの長所・短所を簡単にですがご紹介。
※筆者の主観が入ります。あらかじめご了承ください。

16タイプのいいところ

まずは単純に楽しい!

16タイプのいいところはまずは単純に楽しいということでしょうか。星座占いや数秘術などが好きな人はハマるかもしれません。それでいて占いとは異なり、実際の性格事例(具体)をもとにタイプ分け(抽象)というアプローチを行うので、ある程度のリアルさや相関性があります。

自己理解の役に立つ

16タイプのいいところは、自身の性格特性や行動様式を可視化できることです。メタ認知(自己分析)のツールとして役に立ちます。自身が学校・社会・家族などの世間一般から浮いている自覚のある人、疎外感を感じている人などは、16タイプをやるとヒントを得られる可能性があります。

そしてそういう人ほど16タイプは効果的です。自身を性格傾向をメタ認知できれば、世の中一般の多数派との「差」を推し量ることができ、多数派の考え方・感じ方を理解することができれば、順応することができるかもしれないからです。

他者理解の役に立つ

16タイプは他者理解にも役立ちます。たとえばある人が機嫌が悪かったり、怒っていたとして、不快となっている理由を探る際に役立てるなどです。

人が怒りの感情を抱くのは、基本的にはその人が「こうあるべき」という予定や身上、行動などが崩されたときです。その人が「あるべき」と感じるポイント、動機、価値観などを推論してそれを事前に回避すれば、怒られる機会そのものを減らせる…といった際に参考になります。


ただし他人がどの性格タイプなのかを評価するのは素人には困難です。またそもそもするべきではありません。

もしするならば、ある程度の期間その人と共にし、言動、動機、行動特性、思考様式を注意深く観察した上で「8つの心理機能」に照らして、主機能と劣勢機能を見極めないと難しいです。そして頭の中にとどめた方が無難でしょう。

性格を客観的に表現できる

もうひとつは客観的表現が可能ということです。つまりこれは人物の理解や評価を行う上での解像度が一段上がるということです。

たとえば「グリーン」という表現があったとして、それが純色の緑色なのか、黄緑色なのか、青緑色なのか、深緑色なのかはわかりません。これを防ぐためデザインの世界では「カラーコード」というものがあり、RBGの比率で客観表現を行うため、誰がどう見ても同じ色です。


これと同じで「あの人は優しい人だよ」という表現があったとして、それが意味するところはその言葉が使われた文脈と受け手の解釈によって変わります。つまり表現として達意でないため(意味の受け取り方が複数存在する)意味がブレます。

この点16タイプを知っていれば、「優しい」というキーワードからは、たとえばISFJ、ENFJ、INFJ、INFPといったタイプが想定されて、どういうニュアンスの「優しさ」を持っているかを客観的に表現、あるいは区別ができる…というメリットはあります。

ローカライズは考慮しない(※MBTIの話)

ちなみにMBTIは各国に協会が存在し国際規格が定められているので性格タイプの類型はどこでも通用します。例えば日本人であってもアメリカ人であっても、“INFJ”というタイプについての認識は共通しているので、理論上正しく認識していれば、その概念は共通です。

※つまりローカライズしないという話で、人種、文化、習慣、宗教等の違いは考慮しません。なので「日本人のINFJ」と「アメリカ人のINFJ」では性格傾向が異なる、ということにはなりません。

16タイプはそこまで厳格に定められていないのでわかりません。……が、基本的にはローカライズは考慮しないものと思われます。

16タイプの悪いところ

科学的根拠に欠ける

16タイプは数学等の自然科学的アプローチを取っていないため、どうしても科学的根拠性に欠けます。そのため疑似科学にすぎないという批判がなされます。16タイプにしろ8つの心理機能にしろ、数式等を用いないため概念としてふわっとしており、その解釈にはばらつきが出ます。

なので客観的根拠(エビデンス)、論理的整合性(ロジック)、物的証拠や事実(ファクト)を求められると弱いところがあります。理念型に基づいた類型論(一般論)であり、あるい逆に実際から特徴を抽出した方法論でもあるのですが、この二点を繋ぐ論理性(ロジック)が弱いのです。

そのため付き合い方が少し難しい面があり、適度に距離を保ちながら友好的に接する必要があります。16タイプを頭ごなしに否定すると活用することができず、また逆に妄信しすぎるのも良くありません。

タイプの判断が難しい

これが16タイプの難しいところで「そもそも自身がどのタイプに該当するのか」という判定が難しいです。その辺のサイトにある判定テストはあくまでも簡易的なものなので、きちんとした結果は出ませんし、やはりMBTI同様「8つの心理機能」から見ないと本質を捉えられません。

そもそもユングのタイプ論からは、「その人固有の心理機能は原則として変わることがない」と述べているため、判定テストを受ける度にその判定が変わってしまうのは、そもそも「判定」をすること自体がMBTI的には趣旨に反します。

16タイプは「判定」できるのか?

個人的にはその辺の16タイプ判定テストでは正しい結果は多分出ないだろうと思っています。どうしても抽象的概念になるので、8つの心理機能の概念が馴染み、考察や解釈を通して理解が深まるまでは少なくとも数年はかかるからです。

ガチでやろうとするならば、「8つの心理機能」に照らした上で、主機能と劣勢機能をまず見極めた上で、残りの補助機能・代替機能を絞りこんでいきます。またエニアグラム、ソシオニクス、BIG5などの他の指標も併用して整合性や矛盾を取ります。


ここまでやれば自身のタイプについてはある程度絞り込みはできるかもしれませんが、どうしてもタイプが識別できないと気が済まない人は、きちんと判定をするためには公式セッションを受けた方が良いでしょう。

MBTIの公式セッションはよほど気になる人以外は受けなくてもいいと思っていますが、どうしても確信が欲しい人、専門家からのコーチングやアドバイスを受けたいという人、自身の解釈や認識が合っているかを確認したい人などは、受けてみるのもよいと思います。

※なお筆者の場合…

筆者は自認INFJ-T(5w4)※不健全というところでしょうか。理由は、主機能Ni(内向的直観)とSe(外向的感覚)がかなり特徴的で、INTJのようなTe(外向思考)があまり強くないため、消去法でINFJかなぁという感じです。

Niが長所、Seが短所、Feが伸び悩みTiが代わりに伸びている……。とりあえずここまでわかれば大部分が腑に落ちたし、仕事や日常生活も大分やりやすくなったのでこの辺で十分かなと判断しました。あくまで「ツール」なので極める必要はないと思っています。

二分法であること

16タイプは「4つの指標」でどちらのアルファベットに該当するかという二分法(二者択一)で判定をされます。つまり「中間」がないのです。類型論であるため仕方ない部分はありますが、スペクトラムではないため、方法として少々雑であることは否めません。

たとえば、外向型51% 内向型49%という結果が出たとして、「あなたは外向型です」⇒「外向型なのでこういう特徴があります」という論理が成立してしまいます。16タイプ的には確かに正しいのだけども、さすがにちょっと雑すぎます。

なお現代の心理学等では16タイプのような類型論は基本的には用いられていません。発達障害などもそうですが、スペクトラム(連続体・程度)としてとらえられるのが通常です。

まとめ

16タイプは抽象的でふわっとしているので、適切な距離感がなかなかつかみづらいところがあります。うまくハマる人がいれば、あまり受け付けない人もいると思います。また適切に扱える人がいれば、原理原則にこだわりすぎたり妄信しすぎたりしてしまう人もいるでしょう。

その場合、まずは基本に立ち返ることが重要です。MBTIは自己理解を行うための補助ツール、そう「ツール」なのです。抽象概念ゆえに手で持ったり触ったりできませんが、要は火やハサミと同じです。

あるいはお酒と同じです。適量飲めばいい気分になりますが飲み過ぎれば毒です。そのことをよく認識して友好的に付き合っていくとよいでしょう。

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